真実の瞬間!顧客が企業の価値判断をする瞬間【書評】

書評

 4月29日から30日にかけ、スカンジナビア航空はパイロットのストで欠航が相次ぐというニュースを見た。組合側は賃金の引き上げや労働時間制度の改善を求めているということらしい。スカンジナビア航空は、スウェーデンとデンマークの政府が共同出資する航空会社である。





このニュースを見て20数年前に読んだ本を思い出し、読み返してみた
「真実の瞬間」である。その当時、仕事上でチームリーダー的存在だった私は、この本に共感した。お客様とじかに接している我々が瞬時の判断によりお客様に満足を与え、強いては企業の発展(売上増)にもつながると感じたからだ。チーム内にもこの本で書かれている「最前線にいる我々の対応が重要である」ことの意思統一を図った。最前線の対応次第で、お客様はファンになってくれたり、逆に悪印象を与えれば、もう二度とこのメーカーの製品は買わないと思うでしょう。

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最前線で働く人の行動(とっさの判断)が重要!

 本の序文を読んで惹かれたことを紹介します。
旅客機のパネルが一部緩んで浮いている、そのパネルの端に引っかけてストッキングを破ってしまった乗客が、そのことをスチュワーデスに告げる。スチュワーデスにできることといえば、その事故の報告をすることだけである。事故報告は転々と各部門で受理される。パネルはやがて修理されるが、さらに10足ストッキングを破ってからだ。
赤字経営を黒字経営に変えたカールソンなら、そうした問題をどう解決するか。コミュニケーションを阻む横の障害を排除すること。「部下を指令どおりに動かすために雇われている」中間管理職を、マネージャーから、旅客と市場にじかに接する最前線の従業員のリーダー、支援者に変身させることなどが、カールソンの解決策だ。といった文章を読んで最前線で働く者の重要性に共感を得た。
カールソンが社長になったとき、スカンジナビア航空は危機に瀕していた。カールソンは、サービスそのものとサービスを担当する最前線の従業員こそ、成功への鍵だと考えた。


 この本は、1990年に発行され、実に30年を経ておりレガシー化している感はあるが、今でもこの経営哲学は、経営者のみならず中間管理職やリーダーにとっても有益である。経営の最前線で、短時日で目覚ましい企業再建を達成した経営者ヤン・カールソンが語る数々の事例、提案、その当時の新しい経営哲学などが掲載されており、お客様と接する最前線の方はぜひとも読んで欲しい1冊である。

顧客と市場が経済活動を主導する時代が到来しつつある。航空運輸、自動車、半導体、金融サービスといった分野で、賢い消費者と新たな競争相手が、旧態依然とした企業に圧力を加えている。市場が先導するこの転換期に対処するには、組織・機構の変革が、つまり「顧客本位の企業」につくり替えることが必要だ。現場から隔絶した、統制的な上意下達のリーダーシップでは、企業は生き残れない
-ヤン・カールソン<本文より>

 スカンジナビア航空は、1970年代のオイルショックの影響もあり、2年連続の赤字にあえいでいるときに、社長に就任したヤン・カールソンが黒字経営に転換した経営手法を紹介している。「真実の瞬間」とは、航空券販売係や客室乗務員といった最前線の従業員が最初の15秒間の接客態度が、その航空会社全体の印象を変えてしまう。カールソンは、その15秒を「真実の瞬間」と呼んでいる。まさにそのとおりだと思う。
カールソンの経営哲学をいくつか紹介していきます。
これらの考え方は、当たり前のように見えても実践できないことが多いのではないでしょうか?「失敗を恐れず、リスクへ挑戦すること」が重要なのだと思う。

顧客主導型企業

 製品本位ではなく、顧客本位の企業

最前線、現場従業員を重視

 最前線で働く方こそ個々の業務についての意思決定者であり、経営陣の設定した目標と戦略に沿う企業運営に必要なすべての意思決定を行う。
どんなに優れたリーダーによって企業のビジョンが示され、戦略が作られても、毎日、多くの最前線の従業員によって顧客に質の高いサービスが確実に提供されなければ企業の成功はない。そのためにも、最前線の従業員に裁量権を与える。

企業の全体目標策定の手順

 目標と戦略を立て、その後で事業環境と顧客ニーズを調査する経営者が多いが、カールソンは、手順が逆であることを明言している。

会社のビジョンの浸透

 最前線の従業員にいきわたるまで意思疎通を図った。小冊子の絵とわずかな言葉で浸透を図り、結束力を高めた。

分権化された、顧客主導型企業へ変貌

 ピラミッド機構を崩し、分権化を行った。これにより顧客をさらに満足させるサービスを提供するだけでなく、従業員が内に秘めている活力を開放し、コミュニケーションによる意思疎通を重視している。
ピラミッド機構を崩した企業では、従業員ひとりひとりの自負心を高めることが、ことのほか重要である。階層的機構の企業では、”昇格”で有能な社員が単なる上層部の意思決定伝達約に収まってしまうことが多い。中間管理職は最前線の従業員のサポート役。

リスクへの挑戦

 「壁を突き破れ」。目標が不可能に見えてもそれが確認されるまで投げ出してはならない。



リチャード・ノーマン「サービス・マネジメント」(引用)
「サービス企業において、技術も大切であるが、もっと大切なのは、顧客に喜んでもらうことを重視する社風である。従業員の個々の行動の基準を示すのがこの企業文化である。これによって、サービスの質のコントロールが可能になる」

 
 この本を読んで感じたことは、ただ漠然と仕事をしているのではなく、最前線で接している従業員の行動が重要であることを再認識し、自らやりがいが感じられる職場づくりをするためには、どうしたらよいのかと試行錯誤したことが思い出された。
 その当時のチームリーダーとして、非常に参考となった本であり、真実の瞬間の大切さをみんなに伝えていきたい。



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